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山の神の前広場の整理 (2014/August)


 お日の森は定例作業の他に地元高尾の小学校や幼稚園の自然総合学習や体験学習、レクレーションの場として活用されています。
集合や学習場所として山の神の前の広場を使用していますが学年で使用するには狭くて暗く、また頭上にはコナラの大木の枯損木がにあり落下による危険が懸念されていました。コナラ伐倒
当コナラは樹齢70年ほどで近い将来勢いがなくなり老木として枯れていく運命にあります。
森が赤く枯れていく「ナラ枯れ病」は比較的高齢で大径の樹木の広葉樹二次林(薪炭林など)で多く発生しています。薪炭林としての利用を止めて約60年放置されていたお日の森の多く樹木もナラ枯れ病発症の可能性があります。
以上の理由から該当する2本のコナラの大木を伐倒して明るく広い、安全な広場に整理する事になりました。以前は直径50cm以上の大径木の伐倒はスキル的に無理がありましたがチェーンソーを使った伐倒の度重なる経験と作業者の技術の向上によりそれが可能となりました。
 

この伐倒ではすぐ近くに道具小屋があり失敗は許されません。小屋を避け伐倒方向を確実にするために重心方向の決め手となる大枝の事前の除去が必要となり、ハシゴに登って切り落とし安全な伐倒の事前準備を行いました。
伐倒にはリーダーの指示の基で数人で交代しながら、受口作り受口を修正し追口を作りながら最後に慎重にクサビを打って豪快に決められた方向に倒す事が出来ました。
2本の大径木の伐倒に伴って広場にあった玉切り材の整理や整地を行ったため広場は明るくなり、安全な集合や学習の場にすることが出来ました。
(la maison記)

大径木(コナラ、クヌギ、他)の伐採について (2014/August)

ナラ枯れ病

近年紅葉シーズンに入る前に早くも紅葉したと思える現象が見られるようになった。紅葉と見られたのは立ち枯れで、原因はナラ枯れ病である(ナラ,カシ類に多くみられる)。
narakare1ナラ枯れ病は、カシノナガキクイムシ(カシナガ)という甲虫が、ナラ菌を媒介しそのナラ菌が広がる事で樹木が水切れ症状を起こし、葉が赤褐色に変色し枯れ死する。 カシナガは樹液を嫌う為、被害を受けるのは老樹(大径木)に多い。南方系のカシナガは、低温に弱いが地球の温暖化により北上し、被害が広がったと思われる、又エネルギー革命以前は森で、薪・炭を得るために、雑木林を利用し常に樹木は更新されて、若い森が保たれていた、里山が放置されナラ類の高齢化(大径木=抵抗力が低下)が進み、被害が拡大した事も、一因と考えられている。対策として化学的方法(薬剤塗布、殺虫剤の注入、線虫を寄生させる等)と、大径木の伐採によりmusiカシナガの住みにくい林にする方法が考えられる(カシナガは木材の芯材部分より、辺材部分に繁殖し易い=大径木は若木より辺材部分が多い)

雑木林の更新

植物の繁殖は有性繁殖、無性繁殖が有る。有性繁殖は種子による繁殖であり、無性繁殖は根、幹、枝などからの繁殖である。

大径木が林冠を覆い林床に陽が入らないと、暗い森になり種子(目的の樹木)の発芽が期待できなくなり、又他の植物も生育しにくくなり林床植生は乏しくなる暗い林内に散布された種子は休眠し、光環境が良くなれば発芽する性質の物が有り(埋土種子)大径木の伐採により林床に陽が当たるようになり、これらの種子が発芽し植生が豊かになる(実生更新)。
雑木林を利用していた頃は、20~30年ごとに伐採されて切り株から萌芽する新しい芽を育てる(萌芽更新)事で、常に若い森が保たれてきたが、近年雑木林は放置されたままである。50年以上の老木では萌芽更新は期待出来ないが、実生苗を育て、ゆくゆくは萌芽更新出来る森を作っていかなければならない。 以上の様に、大径木の伐採を進めて行くことにより、ナラ枯れ病対策や、明るく植生豊かな多様な生物が育まれる、若い雑木林に育成して行けると考え、そのように活動したいと思っている。
(記:M_Iwasaki)

お日の森と私(2012/August)

 お日の森に入ったきっかけをたどると、子供のころ山で遊んだことかなあと思います。

 山といっても、平山城址公園という多摩丘陵の一角で、ぬかるみを掘って湧水の湧き出るところを見つけて流れをつくったり、木登りしたり、木のウロに宝物をしまったり、崖地では粘土層でねんど細工したり四葉のクローバーを探したりしていました。
 もうひとつのきっかけは、お日の森に参加する少し前に「山で暮らす愉しみと基本の技術」という本を読んだからで、著者の楽しいイラスト付きででいろんな知恵が詰まった面白い本です。これを読んで、山暮らしはできないけど、ぜひやってみたいな~と思いました。

 よく、日本の林業が、とか山が荒廃している、とか問題になっていますが、私なりにできる範囲で、楽しみながらだったら、何かしらお役にたてるかしらと思っています。
 お日の森は家から自転車で行ける距離です。こんな近くに、鉈のふるい方からなにから、 親切に教えてくれる場所があって幸せだな、そして足のうらや、空気から、生きもののエネルギーを感じていると、そういえば自分も生き物のひとつだった、と気分が軽くなって、わくわくしてきます。そんな感じで一緒に楽しめる人が増えたらもっといいなと思います。  (T.Shimizu記)

森の中にプリンターのトナーが撒かれていた? (2011/Febrary)

 先日ヒノキ林地にかかっているサクラの大倒木の処理の調査のために森林科学園との境界近くの現場に行きました。 急な斜面を登って行くと突然枯葉の上に大量の青い粉状のあたかもレーザープリンターのトナーのようなものがばら撒かれているのを目にしました。 近づいてよくみると粉状のものは小さな虫の群れで蠢いており、跳ねているものもありました。 大変気になりカメラに撮りましたがなんだか気味の悪いものを見たようで顔を近づけたり、手で触れてみる気には到底なりませんでした。<<マウスを近づけるとその部分が拡大します>>  家に帰ってからネットの画像サイトで”青い粉状 生物”等で調べましたがなかなか撮ってきた写真のような画像は見当たりません。 飛び跳ねていたので”飛び虫”で検索をかけたところ似たような写真を見つけることが出来”ムラサキトビムシ”で有ることが分かりました。 見つけた時はピョンピョンというよりはピチピチと跳ねていました。

 体は1mmぐらいなのに数cmから数10cmも飛ぶことが出来るようで、まだらにいればあたかも木から落ちてきているような錯覚になります。 ネットで調べたら、林床の湿ったところにいる生物で腐葉土やキノコ、土壌中の菌や線虫を食して分解し森の生態系のボトムに位置しているとのことでした。 生息密度は高く,数千から数万個体/m2に群生していることから陸のプランクトンとも呼ばれています。 色は私が見たのは紫っぽい色でしたが白色、灰色や鮮やかな色の種類もいるとのことです。
 森の中だけではなく湿っぽい畑や家の周りでも突然大発生するため、徘徊する不快な生物として嫌われています。 私と同じように実際に見た人はやはり不快感を持つでしょう。 除去する殺虫剤を撒くと簡単に除去出来るようですが生態系において非常に有益な生物です。また毒を持っている虫ではありません。
 お日の森の湿った落ち葉の積もっているところを注意してみると見つけることが出来るかも知れません。 なにしろプリンターのトナーを森の中にぶち撒けたように群れをなしているので見落とすことはないと思います。 さて皆さんはそれを見てどのように感じるでしょうか。 (Y.I.記)

阿修羅の如く、空想の森(2010/ February)

 お日の森の最標高となる尾根にカラマツに混じって特徴のある形のコナラが生えています。
近くにモミの大木があるためランドマーク・ツリーとしては認識されていません。
過ってお日の森は薪炭材用の里山でした。 60年ほど利用されずに放置されていたため萌芽したコナラやヤマザクラが大きく成長しています。 まっすぐで樹冠に近いところから枝を張っているのが多いこの森ではこのように阿修羅の如く横に枝を伸ばし曲がっている姿は珍しい光景です。(一方向から写真であるので他の曲がりがよく現されていない。 公園の単独木や開けた土地でのコナラは自由奔放に枝を伸ばしているは珍しくなく普通に見られる光景ですが・・・)

 日本では昔から樹々には神々が宿っていると信じられています。特に巨木になると「神の木」として崇められています。
このコナラは大木とは言えません。 しかし私にはこのコナラが「正義を司る神、守護神」としてお日の森の天辺から見守っているように見えます。 現在周りが比較的空いていて生育条件がよいので伐採されたり枯れなければ尾根から下層木を畏怖する「阿修羅の樹」になるに違いありません。

 自然界にあるすべての物はどんな物であれ、そこに存在している何かの理由があります。
この樹もなぜここに生えそしてこのように横に曲がってしまったのかおのずから理由があります。
樹の成長と枝の張り方は日の当たり方と密接に関係しています。
その場所に実生してはじめはまっすぐに幹や枝を伸ばして成長したが後から生えて来た陰樹性の常緑樹が光を遮るようになったのでそれを避けて枝を横に伸ばし、常緑樹が衰退してからはより光を受けるために再び上方に枝を伸ばし複雑な形(動き?)になったと想像します。

 一般に樹は「動かない生物」なので「植物」といわれています。 この樹も極低速カメラ、例えば定点で1ヶ月に一回シャッターを切って撮影し常速で時間を縮めて再生すればタコのようにくねくねと動物(動く生物)のように見えるかもしれません。
樹は一旦そこに根付くと自らは自由に移動することは出来ません。 出来ないからこそ光(日当たり)を求めて幹を精一杯伸ばし、枝を張り、曲げて成長の可能性を求めて動き(?)まわります。
それが出来なくなれば無駄な抵抗(成長)を止め機会がくるまで耐えてそこに留まる、または潔く枯れて他の樹へ成長を託しています。

 先日3D映像で話題となったSF映画「アバター」を見ました。 異星人が住んでいるパンドラ星の「ある地域の生物たちは神経ネットワークを形成してお互いに情報を交換しながら共生している」ことを発見した生物学者の話がありました。

 地球の自然界はまだまだ多くが未知の世界です。知れば知るほど新しい未知の世界が出現しています。
お日の森の植物も私たちがまだ知らない生物界の驚愕のメディア例えば特殊な菌糸等を利用してネットワークを形成し「お前はもう引退して枯れてあの木を助けろ!」「みんなで一緒に伸びようよ!」とか言い合っているかも知れません。、そしてそれらを取り仕切って纏めているのが長年の風雪に耐え豊富な経験と知識を身につけ今なお成長している大木なのかもしれません。

以上は全くの根拠のない空想です。
森を別の角度から観察し空想すると面白いドラマが湧いてくるかもしれません。
(la maison 記)

鳥の巣箱掛けとお日の森で会った冬の鳥(2009)

 2月も立春を過ぎると、「ツゥツゥピー、ツゥツゥピー」というシジュウカラのさえずり、とても上手になって、よく聴かれるようになりました。 2月8日、お日の森の広場付近に、巣箱を掛けました。 昨年のもの2個をよく掃除しました。 清水さんに安全帯をつけてハシゴに登って取り付けていただきました。

 昨年は、そのうちのひとつにヤマガラが巣材を運んでいました。でも、小鳥の巣途中でやめてしまったようです。 12月に外して中を見ると、かなりの量の苔が運ばれていたのです。 中身は苔のみで、産卵した様子はありませんでした。 こんなにたくさんの苔を運んだのに、なぜやめてしまったのでしょうか?残念でたまりません。今年は、是非ともここから雛が巣立ちますように・・・と願いつつ、ちょっと遅くなってしまいましたが、昨年と場所を少し変えて掛けました。 また、12月にその巣箱を外したとき、その苔の中には、おびただしい数の蟻が冬越しのために住んでおり、蟻の大群がモゾモゾと出てきたのには驚いたそうです。

 さて、お日の森で冬のみ見かける鳥。 今年はルリビタキを、よく見かけます。 巣箱掛け「ヒィッ、ヒィッ」という特徴ある鳴き声は、森によく響きます。 「遊び広場」あたりの低木の小枝を飛び交っていました。オスはとてもきれいで、メスは色は目だたないけど目がクリッとしていてかわいいです。 どちらにも出会えました。 夏は高山に登って繁殖します。 同じ仲間のジョウビタキは、下の民家の近くでよく見かけます。 暖かくなると北に渡っていきます。また、沢沿いでは、鳥に会うことが多く、クロジ、アオジなどをよく見かけます。
 ササ藪で、ソウシチョウの群れが活発に飛び交っていました。 嘴が赤く、派手な羽色のソウシチョウは、日本の特定外来生物に指定されていて、近年繁殖域を広げており、生態系に与える影響が懸念されている鳥です。 冬は低山で過ごし、夏は少し高い山に移動します。 私は、山登りをしていて、冬に里で会った鳥に、夏に高山で会うと、懐かしく嬉しい気持ちになるものです。 ただし、ソウシチョウは別です。6月頃、高山のササ藪の中で、ソウシチョウが飛び交い、ウグイスが、けたたましく鳴いて警戒しているところ出会いました。
私は鳥を見始めてまだ初心者ですが、鳥は静かに待っていれば来てくれます。 静かに耳をすますと、たくさんの鳥の声が聞こえてきて、ただそれだけで、とても幸せな気持ちになるのです。


 鳥の巣箱掛けました!
 神事 1月24日の定例活動日のとき、念願の巣箱を2個掛けました。Fさんに作っていただきました。 Gさんに梯子で安全帯を付けて登っていただき、高さ4メートルくらいのところに取り付けました。 小屋前と山の神広場近くに掛けました。

 鳥の種類によって、生活、巣作り、子育てなど様々に異なります。 この巣箱はシジュウカラ用に、穴の大きさ28ミリで作りました。春になると「ツツピー、ツツピー」とさえずる、よく見かけるかわいい鳥ですが、どんな生活をし、何を食べ、どんなふうに子育てしているのでしょうか?

鳥の生活や巣に詳しい鈴木まもるさんの本によると・・・
カラ類の巣は、エナガ以外は自然にあいた木の穴にコケなどを入れて作るので、巣箱もよく利用する。
春になってつがいになり、巣づくり始める。 食べ物はふつう松の実や木の実などを食べているが、春になって青虫が多くなる頃に子育てし、貴重なタンパク源としてたくさんの虫が必要となる。
シジュウカラの場合、1.7センチくらいの卵を10個くらい産む。メスがあたため12~13日くらいで卵から順次かえり、ヒナは20日ほどで巣立つ。
その間、オスは餌運びと見守り役。二人で懸命に餌を運び子育てに励む。 巣立った後も一人前になるには一ヶ月くらいかかる。この辺りでは5月~6月頃、親子連れのシジュウカラが見られる。 そしてその後2回めの繁殖をする場合も多い。

 私達も巣箱のメンテナンスのため、木登りも楽しみのひとつとなりました。 さて、シジュウカラさん、この巣箱、気に入ってくれるでしょうか? 今回の取り付け時期は少し遅いかもしれませんが、是非ともこのお家で、ヒナがかえって巣立って欲しいです!
(M.M記)

間伐材のヒノキが山車に変身(2009/Octoer)

 コケシこの材料との出会いは、今年(2009年)の3月雨上がりの翌日の定例活動日のことです。 仲間の I さんから「M さん、断面に面白い柄(もよう、がら)のある間伐材があるよ」との声が始まりです。
年輪の測定から15~6年位のヒノキで切ってみると金太郎飴のように同じ柄が出てきます。 「これで何か作れないか」と思い300㎜X60㎜Φの丸太を2本持ち帰りました。

 
 当初は小さく切ってキーホールダー等を作ることを考えました。 しかし「この柄なら太鼓を作ったら・・」と思いつきました。 荒削り~ナイフ~ヤスリがけ~紙ヤスリで仕上げを繰り返して作り上げました。 出来上がると台が必要になり、台が出来ると今度は「お祭りの山車の上に乗せてあげよう」と次々にアイデアが浮かんで来ました。 鳳(おおとり)の鳥はこの柄を3㎜位に輪切りにしてシッポや羽等を作りました。 しかし土台の部分はこの材料ではできません。
 
 ちょうど「お日の森」の下刈り時に入口の法面(のり)の笹藪の中にヒノキの間伐材の残置があったので仲間のF さんにチェンソーで切ってもらいそれを利用することにしました。 基本的には「お日の森の整備で排出した材料(間伐材等)を使って山車を作る」という目標を立てて製作を始めました。
 
 ハンドルは左右に回るようにし、ブレーキはいろいろ試作してみましたが最終的には茶漉しの網を外し針金を利用して完成させました。 太鼓に結ぶ化粧紐の掛け方が分からなかったのですが幸い地元の祭りの手伝いの山車係で見よう見まねで掛けてみました。 これでほぼ完成です。 後で要用に作り直そうと思います。 残りの材でこけしも作ってみました。 一個はあまり削らず、もう一個は胴体を削ると柄の模様が現れるのでそれを活かして完成させました。
 
 私はヒノキの香りが大好きです。素材の香りを活かすため、ニスはツヤ出しに太鼓のみに塗り完成させました。
製作期間:2009年3月~9月まで約7ヶ月間
使用した材料:お日の森のヒノキの間伐材
(K.M記)

 

■森の散歩道について

森の散歩や野外活動中、目線変えたり環境の変化によっていままでなにも感じなかったものが非常に新鮮に感じたり、新しい発見をすることが良く有ります。
そしてこのことを他の人に伝えたくなることがあります。
このコラムはそのための皆様のコーナーです。
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