平成26年4月26日 文京シビックセンター26F スカイホールにて
シンポジウム
都市に住む子どもたちに森林教育を!
〜子どもが引き出す森の魅力〜
都心に近い高尾の「お日の森」で遊々の森事業の取組を行っているお日の森くらぶ事務局長で森林インストラクター東京会に所属している村上智裕さんが会場で活動報告しました。
以下その内容を掲載します。
お日の森とお日の森くらぶの紹介
お日の森とは
お日の森くらぶとは
森林環境教育の目的
TK保育園での取り組み
TK保育園のご紹介
活動の狙い
活動の成果
実際のプログラム
AS小学校での取り組み
AS小学校のご紹介
活動の狙い
活動の成果
実際のプログラム
一般公募の親子向け森林体験イベント
活動の狙い
活動の成果
実際のプログラム
お日の森とお日の森くらぶの紹介
お日の森とは
お日の森くらぶとは
平成18年にお日の森を所有している西浅川山林組合から東京都にこの森の施業についての相談があったことをきっかけとして、NPO法人森づくりフォーラムから森林インストラクター東京会に呼びかけがあり平成18年6月に集まった有志でフィールド調査を行いました。現在入口ですぐ目に入るお稲荷様はまったく見えない状況で、尾根のオオモミから沢沿いの道はどこを歩いているのか分からないほどの状況でした。同年9月、西浅川山林組合と協定書を締結し、同年11月組織として施業を始めたのがお日の森くらぶの始まりです。現在くらぶの会員約40名。お日の森(2.87ha)の他に駒木野国有林(1.7ha)など周辺の私有林を含む約4haを毎月3回の定例活動で森の整備を行っています。
森林環境教育の目的
くらぶ規約に「都市住民や近隣住民の子ども達の自然体験学習や遊びの場に活用できることを目的とした森林整備を行う」と定めており、その目的達成のために森林環境教育プログラムを企画し実行しています。
現在活動は主として高尾在住以外の参加者によって行われていますが、近い将来には高尾近隣住民の手によって行われることを目指しています。
TK保育園での取り組み
TK保育園のご紹介
活動の狙い
身近な山林を歩いて動物や植物を見たり感じたりすることによって自然に親しみを持ってもらうことを重視しています。
また山の中を歩いたりネイチャーゲームして体を動かして楽しく森の中で一緒に遊ぶようにしています。
活動の成果
実際のプログラム(平成25年7月のプログラムから)
・ゲーム「動物の親子」
カブトムシと幼虫や、タヌキの親と子など生き物の親と子を園児二人がペアになって探すゲームです。進行係が一枚の親のカードをペアになった園児に見せ、園児は地面に置いてあるその子ども・幼虫のカードの中から該当するカードをさがし、進行係に二人で持ってくるというゲームで園児全員が子ども・幼虫のカードを見つけられるまで行います。
⇒成果は
幼虫から変態をして成虫へと変化していく、または親と類似の子どもが成長する生き物の違いを知ってもらいました。実際の例としてセミの抜け殻、ヘビの脱皮したもの、そしてクロスズメバチの巣などを見せて大いに興味を持ってもらい、その後の探検で実際の抜け殻など変態の痕跡や生きた昆虫を見つけるという探検の目的を持ってもらえました。
また「お日の森の生き物・動物の落し物さがし」を行いました。
4班に分かれて、班ごとに講師と先生が1名づつ付き、まず各班が仕掛けておいた虫のトラップにどんな虫が入っているかを観察しました。入っていたのは殆どアリでした。
そして探検に出発しました。数は多くなかったのですがセミの抜け殻やホオノキやスギのなどの木の実、そしてコクサギなどの臭いのする葉に園児たちは大いに興味を示していました。檜林地を抜けた場所にもう一ヶ所仕掛けておいたトラップにはオサムシなどが見られました。最後にキツリフネソウの実を園児たちに触ってもらい、はじけてビックリした様子が何とも可愛かったです。
AS小学校での取り組み
①AS小学校のご紹介
教育目標として「自ら進んで学びやりぬく、思いやりをもち助け合う、健康で明るい子ども」を設定されています。学力向上のための重点方針の中に、総合的な学習の時間の充実を掲げ5年生では「高尾山学習(地域理解)」が実施されています。これは高尾山に登って自分の「テーマを決め、調べ、パンフレットを作成し、高尾山に来る登山者に調べたことを説明する」といったものです。
活動の狙い
身近な森を観察して「問題に見つけられ、よりよくするための活動をすることが出来るようにし、身近な森を愛しむ心を育てる」ことを目的としています。1つのテーマを決めて事前に考えて当日発表をしてもらい、ネイチャーゲームや実際に作業をしてもらったり、山の中を歩いて何かを発見してもらったりして「実際に体験する」ことができるように工夫しています。
活動の成果
平成23年度は5月、6月、11月、1月、2月に6年生2クラス約80名に、24年度は5月、9月、1月に6年生3クラス約90名に、25年度は5月、9月、1月に6年生2クラス約75名対して累計で11回実施しました。児童からは「自然界の仕組みがわかった」「疲れたが生き物のことが身近に感じられて面白かった」との声がありました。先生からは「普段の授業より楽しかった」「とても良い経験ができた」との感想をいただきました。
実際のプログラム(平成24年9月のプログラムから)
・紙芝居方式で「木が育って森が出来るまでの作業」を講師が説明する。
・林地へ移動し、伐採の方法を講師が説明。講師達がヒノキを伐採、1班1本づつ予め用意しておいた木を抱えて児童が広場へ運ぶ。
・ 広場に到着、班別に子どもたちで竹べらを使い、皮むきをさせる。
・材をウマに乗せ、子どもたちがノコギリを使って1cm幅(厚さ)の輪切りを作る。
※輪切りの年輪を数えたり、ヒノキのにおいを嗅いでみる。
・ポスカを使って絵や名前などを書き、木のブローチを作る。
※ドリルで穴を開け、糸を通して首からぶら下げられるようにする。
※輪切りの順番待ちや木のバッチ完成後など空き時間ができてしまうことの対策として、竹笛作成コーナーも用意する。。
⇒
児童からの感想がありました。
・工作ができたり、木の話が聞けたりして、たくさん木の事を知ることができてよかった。
・木を切るところを初めて見ることができた。
・木を切るのが一番難しかった。
・普段、当たり前に使っていたものが、木当は、林業の人たちが何年もかけて育てた木であった
ことを知り、感謝しないといけないと強く感じた。
後日、児童からの質問がありました。
・なぜ、間伐をしないといけないのか?2年に1度たくさん切るのではいけないのか?
・なぜ、皮だけ生きていて、中は生きていないのか?
・木の中がしめっているのが不思議?
一般公募の親子向け森林体験イベント
活動の狙い
親子で身近な自然に接してもらい、素晴らしさを感じてまた来たいと思っていただくことやこれを通してお日の森の認知度を高め、将来的に森の整備活動の担い手を増やしていけるよう、一般公募で親子での参加を募り楽しい時間を過ごしながらいろいろな体験をできるようにしています。
活動の成果
平成25年3月27名、10月5名、26年3月15名の計3回実施しました。
実際のプログラム(平成25年3月のプログラムから)
ゲーム「ドングリジャンケン」実施
1人1つずつドングリを持ち、ペアになった者同士でジャンケンをして勝ったら、相手のドングリを一個もらいいくつになったか競います。
ネイチャーゲーム「動物ヒントリレー(絵バージョン)」実施
チームに分かれて、円の中に裏返しに置かれた4分割の6種類の生き物カードを各チームから1人出てきて1枚とり、チームに持ち帰ってチームのみんなで何の動物か考えます。6種類全部わかったらリーダーのところへ申告しチームごとにその早さを競います。
班別に分かれて森を探検及びフィールドビンゴ実施
ヒントが書かれたカードを持って森の中を歩いてその物を探します。
山の神広場到着。
・シイタケ取り、作業小屋見学、ビンゴ振り返り
・昼食 ※シイタケ焼ふるまう
・ヒノキブローチ作り
・3か所でクラフトワークショップ
1.木の実のブローチ作り 2.ブーブー笛作り 3.エンピツ作り
⇒参加者からの感想
・グループで歩くうちに仲良くなれて楽しかった。
・ネイチャークラフトは盛りだくさんで良かった。
・絵合わせが意外に楽しかった。特に楽しかった。
・スタッフの方が丁寧で良かった。
・完璧
です。
・虫のシーズンになったら子どもに虫探しをさせたい。
・高尾に住む動物を実際に見て見たい。